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2004.05.27

バーチャファイターという潮流

それはまだ俺が新入社員だった頃。俺は先輩に連れられ、居酒屋とゲーセン通いの日々を過ごしていた。そんなある日、いつものゲーセンで見知らぬゲームと出会った。
そのゲームはとても地味な画面だったが、とてつもなく派手な「動き」をしていた。ゲームの名は「バーチャファイター」(以下VF)。 そう、今でもゲーセン稼動している名シリーズの最初の作品である。
既に語られ尽くしてるのかもしれないが、思い立ったのも何かの縁。バーチャと出合ったあの頃を振り返ってみようかと思う。

VF発表以前もポリゴンゲームは徐々にゲーセンで活躍しはじめていたがレースゲームに使われているのを見る程度。おそらくはナムコの「ウイニングラン」が俺がゲーセンで最初に見たポリゴンゲームだったと思う。テクスチャのない生ポリゴンなのでスピード感が出しにくいのか俺の周囲でそこまでウケているという印象はなかった。
それから日が経ち「バーチャレーシング」から状況が変わってくる。これもセガの作品だが、ポリゴンによる滑らかな走行感覚とスピード感を両立させたレースゲームだった。視点変更というポリゴンならではのメリットも活かし、3Dであるメリットをアピールしていた。
一方先駆者ナムコも超名作「スターブレード」でポリゴンを演出のために有効活用し、3Dポリゴンだからこそ出来るゲームに仕上げていた。
このようにポリゴンゲームにも幅が出て来ており、そのうち格闘ゲームもポリゴンに…というのはゲーム好きな仲間うちではよく話されていたことだ。それが唐突に、そして予想より早く現れてしまった。

ちょっと話がそれたが、そんな流れの中、VFはポリゴンを使った格闘ゲームというだけでなくいろんな新システムを搭載して登場した。

当初1プレイ200円とプレイ料金が高かったため最初のうちはみんな遠巻きに眺めてはいるけど、そこまで人気爆発という感じはなかった。俺も試しに入れたコインは何だかよくわからないうちにさくっと終わってしまった。やはり割高感はぬぐえないものだった。それでも
「リアルタイム3Dポリゴンもここまで来たのか」
という感慨は大きく、目を離せない存在となっていた。

当初のバーチャプレイヤーは年齢層が高かったような気がする。1ゲームの高さからメインプレイ層がリーマン層だったのかもしれない。カプコンのストリートファイターシリーズをやる若者とVFにいそいそとコインを積み上げるリーマン層という図式は俺のよく行っていたゲーセンだけの風景ではなかったのではないかと推測する。

そう、バーチャファイターも格闘ゲームである以上、格闘ゲームにおけるカプコンの数々の偉業を継承している。ただし、コマンド入力の複雑化へ向かっていた2D格闘ゲームを一旦リセットし、数々の新機軸を持ち込んだという点で新たな潮流となりえたのだろう。

まずはやはり3Dポリゴン採用によるダイナミックなモーションだろう。2D格闘では派手だがわかりにくい、もしくは非現実的な技が多かったのに対し、3Dポリゴンの人体によって繰り広げられる技はあちこちの実際の武術やプロレスから持ってきたものも多く、どういう技を出しているのか、そしてそれが相手に当たっているということが直感的に理解出来た。そして当たった姿が本当に痛そうに見えるのだ。つけ加えてちょっと金属音系の効果音がその重量感を演出した。
こういうわかりやすさは対戦時にも言え、何故自分が負けたのかが納得出来ることが多かった。それは反省となり次のプレイへの意欲となる。また実在の技を取り入れることでプロレスファンや中国武術ファンを引き込むことにもなった。
単に見た目のインパクトだけでなく、モーションがもたらしたものは画面の中のキャラクターとのシンクロ度の向上であったのかもしれない。

次にシンプルな操作パネル。スト2系のレバー+6ボタンというだけでついていけないオールドタイプにレバー+3ボタンはやさしかった。それぞれのボタンでガード、パンチ、キック。非常にわかりやすいアサインだ。最も画期的だったのは技の発動ロジックだろう。ボタンを減らしたことで技の種類が減ったのでは面白くない。
それまでの必殺技の発動というのは「この順番にレバーを倒してこのボタン」というある意味キーワード的なものだった。VFでは行動の「流れ」を取り入れた。例えば単純にキックをするのとパンチを打った直後にキックをするのとでは別のキックとする。以前のアクションと操作の組み合わせによる連続技という方向でバリエーションを増やしたのだ。これに旧来のレバーを入れながら、入れてからのボタン操作、しゃがんで立ち上がり途中などの特別な状態ごとに別のものとすることで少ないボタンで豊富な技の選択を可能とした。極端な話、がちゃがちゃとレバーを適当にいれながらボタンを連打するだけでもそこそこ見慣れぬ動きが出来るものとなっていた。
このシンプル操作で複雑なコマンド入力などを理由に格闘ゲームを避けていた層の取り込みが出来たのもヒットの一因だろう。

システムとしての目新しさはまだある。わかりやすいジャンケン要素の導入もその一つだろう。
「ガードは打撃に勝ち、投げはガードに勝つ。そして打撃は投げに勝つ」
これが最も基本的なジャンケン要素だ。これはそれまでの格闘ゲームにおいても同じだが、さらに打撃とガードについて明確化された。
○攻撃は上・中・下段の攻撃に分類される。ガードは立ち・しゃがみの2つ。
○立ちガードは上・中段の攻撃を無効化するが、下段攻撃は防げない。
○しゃがみガードは上・下段の攻撃を無効化するが、中段攻撃を防げない。
○中段攻撃は基本的に隙が大きく、ガードされると反撃されやすい。
スト2等にも要素的にはあったと思うが、わかりやすく整理され、前述の通り、3Dポリゴンとモーションにより納得しやすいものとなった。そしてこれらジャンケン要素を相手のクセや心理の「読みあい」により確度を上げていくことでプレイヤーを真の強者と敗者へ振り分けていく。
単にコマンド入力の巧みさや知っている技の多さだけではない、先を見抜く思考が強さの指針となったのだ。

あまり目立たないが対人プレイでなく、コンピュータとの対戦も隠れたヒット要素の一つだったのではないかと思う。当時のパソコン通信でも同意見があって納得したのだが、VFでは対コンピュータ戦で出てくるキャラクターが固定されており、ステージが進むごとにそのステージを乗越えるために必要なスキルがある。
どんどん技が出せれば勝てる初期ステージ、連続技の存在を教え、それをガードすることで乗越えるステージ、下段ガードを覚えるためのステージ、中段攻撃に隙が多いことを知るステージ…。クリア出来るようになる頃には対戦のための基礎知識が身についているのだ。

ちらりと触れたがVFによる潮流の特徴の一つとしてパソコン通信などのネット情報による情報の広がりも注目したいところだ。
それまでと機軸が異なるこのVFというゲームについてニフティサーブなどのパソコン通信上では日々活発な情報交換が行われていた。どこかで誰かが目にした技のコンビネーションがあっという間に広まったり、次々と隠しコマンド、バグ技が解明されていった。キャラクター毎の技表も日々更新され、ゲーセンではそれをプリントアウトしたものを貼り付けているところもあった程だ。

そんな中、こういったネットによる情報交換からもう一つの潮流が生まれた。
各地の有名プレイヤーの出現だ。出没する地名と使用するキャラクター名から名づけられた屈強のプレイヤー達の存在はネットを介して全国に広がっていった。中にはそのプレイを見ようとはるばる遠征に出かける人も多かった。
実は俺も出張ついでに当時の聖地、新宿に遊びにいったりしたことがある。鉄人といわれていた有名プレイヤーでなく店のレベル自体が全然違ってて、すごすごと退散したような…。
そういえば浅ヤンにも出てたよなぁ。って浅ヤン自体知らない人が多かったりして…。

コミュニケーションとしてはネット上だけでなくゲーセン上でも活発になった。元々見知らぬ人と対戦するのだからそれ自体がある意味コミュニケーションである。通うゲーセンが固定なら顔を合わせる面子も似たようなもので、ちらほらと感想を言い合ったり、情報を交換しあったりする姿も見られる。対戦して友達になった、という人も多いだろう。
名前も知らないが使うキャラと強さは知っている。俺も先輩と勝手によく見るメンバにあだ名をつけて話していたなぁ。顔がクイズ王に似てるから「クイズ王」とか、負けた時のリアクションが妙に子供っぽいから「ガキ」…そういうレベルだけど。なんとなく「仲間」だと思っていたクイズ王が彼女連れで来たときはワンパンスプラ100回分くらいのショックを受けたものだった……。

話が前後するが、このように広がりを見せていったVFで一番の爆発材料となったのはやはり続編であるVF2の発表だった。

VF2では初代の地味な画面とは異なり、テクスチャにより飾られた美麗な画面、そしてフレームレート(画面書き換え速度)が1/60になったことでモーションはさらに滑らかになった。VF2を見た後に初代を見ると普通に見えていた画面が本当にカクカクして見えたものだ。
まずデモとして始まる新キャラクターによる「演舞」が度肝を抜いた。気持ち悪いくらい滑らかなモーションで酔拳の演舞が披露される。ところどころに生まれ変わった初代からのキャラクター達の躍動感溢れる動き。大幅に追加された技、新要素、新キャラクター。ちょっと動きが軽くなった感もあるが、逆に言えば全体的なスピードアップとなり、戦いはより密度の濃い熾烈なものとなった。

大抵続編というとインパクトが薄れるものだが、VF2に限ってはさらなるインパクトをもたらしてくれた。プレイ料金も当初こそ200円だったが100円になるのも早く、元スト2プレイ層をも巻き込んで全国のゲーセンを覆うブームとなっていく。
例によってネット上では次々と情報が交換されていった。キャラクター単位での攻略や解析、使える技、使えない技、連携技、ありとあらゆるデータがネットを流れていく。

そんな中に単純な情報交換だけでなく、愚痴めいたものや他のプレイヤー批難が目立ちだしたのもこの頃だったような気がする。「待ち」「チキン」といった言葉が毎日のように飛び交った。
簡単に俺の理解で説明すると格闘ゲームでは主要な技の多くに相手にガードされた後、自分が動けない時間(硬直時間)が設けられている。この時間が長ければ相手にガードされると確実に反撃を食らうことになるし、逆に短ければバンバン使っても反撃されるリスクは少ないことになる。VF2ではこの硬直時間が比較的長めになった技が多かったのだ。
おおざっぱに言えば相手が先に硬直の長い技を出してくれるのを待ち、自分からなかなか攻撃をしかけないのが「待ち」。硬直の短い技ばかりを多用し、ほとんどその技のみで闘うのが「チキン」と考えていいか。
勿論それらのスタイルに対する対処方針を練るなどの情報交換もあったが、愚痴っぽいのは確実に多くなってしまった。そして実際にそういうスタイルのプレイヤーは多く見かけるようになる。これらは特にVFに限ったことではない。対戦ゲーム全般に言えることだろう。

プレイヤー人口の増加がプレイ目的の多様化を生んだ。ある者はひたすら勝利を目指し、またある者は美しいプレイや時にお笑いを目指した。目指すところが異なることからくるプレイへのギャップに去った人もいただろう。それでもなおVF2は絶大な支持を受け続けた。

さらなる続編としてVF3も出たが、インパクトはそれほどなく、俺もVF3あたりからはほとんどプレイしてないのでフォロー出来てない。それでもVF2までの盛り上がりは家庭用ゲーム機への移植も含めて楽しい日々だった。出費は嵩んだけども…。
当時使ってたキャラクターや勝てない日々についてはまたいつか気が向いたら書いてみようと思う。

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Comments

ワタシもコレやりましたぁ!家でお兄ちゃんと。一時期、全てのゲーム機本体が揃ってるんじゃ・・・ってくらいあふれてたことがあって、格闘系もX-MENとかロボットのやつとかよくしました。兄弟で選ぶキャラがちがうのがおもしろく弟はなぜか年寄りをいつも選んでた。ワタシはいつも技を覚えられず、キャラを動かすのではなく自分が動いてたのでその迫力が怖いと言われてました。マヌケな負け方をしてしまった瞬間をリプレイされる時が屈辱的で次の勝負へと駆り立てるんですよね~♪

>>いのさん
もしかしてゲーム系豹変女!?
男兄弟がいるとほぼ間違いなくやってるだろうねー。X-MENとロボットのやつ(サイバーボッツ?キカイオー?)はたぶんカプコンのかな。目からビィィィムとかやってたのかぁ。
キャラじゃなく自分が動く人、いるいる! マリオとかやっててマリオと一緒に自分の体も上半身ジャンプしてたり(笑)
今度プレイ姿を拝見させてもらいます。

おおお、マニアックなゲーム好きからコメントがつくんだろうなぁと思ってたら意外な人から!
私は格闘系は痛そうなのがダメでした。あと、コマンド覚えられなかった‥
マリオで上半身が動くのは基本だよねぇ。Bダッシュ→ジャーンプって時は必ず腕も一緒にジャンプしてたさ。
オープニングの「ちゃらっちゃっちゃちゃっちゃ♪」のあとに「ウッ!(マンボ調)」ってつい言っちゃうのも然り。

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