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2004.08.19

オススメ『プラネテス』

書こうと思ってからいつのまにかえらく時間が経ってしまった。
オススメシリーズ、今回は幸村誠『プラネテス』である。コミックは1巻~4巻まで発売されており、4巻でひとまず第一部完となっている。
(今回から「無意味なブログを検出しました!」さんの記事を参考にちゃんとオススメしたもののイメージ&購入先リンクが出来るようにしてみました)

かなり前になってしまったが、BSマンガ夜話で星野之宣がとりあげられ、たまたまそれを見ていてSF欲がじわじわ来ていた。ちょうどその頃、俺ブンさんの記事でこのプラネテスの紹介があり、これも何かの縁だろうとまず1巻だけ購入して読んだ。見事に気にいって残りは翌日一気購入だ。
これを知らないままでいたってのはいかに最近マンガアンテナを張ってないかがわかるなぁ。購読マンガ雑誌ゼロだし…。
ちょうどちょい前からNHKでアニメ版の再放送も始まっているようだ。またしても頭の数話は観そびれてしまったが、途中から観ている。こちらはまたマンガとは違った楽しみ方が出来そうだ。ちらりと見た限りでもさすがNHKというべきか、映像のクオリティは高そうな感じ。

さて、紹介ということで一応簡単にあらすじを。

少し未来の2074年。宇宙…といっても地球周回軌道上に廃棄された衛星などの宇宙ゴミ(デブリ)を回収する仕事を生業とする人たちがいた。
そこで働く人々のそれぞれの思いと、中でもハチマキという青年が宇宙飛行士、そして人間として成長していく姿が描かれている。

宇宙、ロケット…。それは少年時代の代表的ロマンの一つである。おそらく多くの人が経験したであろう遥かなる高みへの憧れ。しまいにゃ『宇宙』と書いて『そら』って読んじゃうぜ。
この作品を読んでいて『アストロノーツ』(史村翔+沖一)や『オネアミスの翼~王立宇宙軍』(GAINAX)などが駆け巡った人もいるだろう。特にラストのハチマキのセリフとか…。
前者はもっとマッチョアメリカンな印象、後者はもっと淡々としていたような気がするけど、同じように思い出しちゃった人はきっとほぼ同年代ですね。あの頃を思い出しつつ、少々青臭気味に考えてみよう。

現実世界もいつの間にやら誰もが夢見た21世紀になったが、普及型エアーカーも光るチューブのハイウェイもバーバラセクサロイドもまだない。なのに、はるか頭上には俺らの知らないいくつもの衛星が飛び回っている。

宇宙はロマンか、廃棄ゴミの漂う人間生活の延長なのか。
この作品のリアリティはエネルギー問題の解決として宇宙資源に頼っている状況、それによる宇宙需要の増加という背景に基づく。そしてその結果として実際に問題になるだろう宇宙ゴミの存在やそれを兵器として利用する可能性などもまたリアリティを持って語られる。逆に地球上の人々の生活は敢えて(?)基本的にほとんど今と変わってないように描かれているみたいだ。(ハチマキ家だけかもしれないが…)

これだけしっかりしたSF的な設定を背景にしながら、話のメインはあくまで人間についてなのが一番の特徴かもしれない。
単に宇宙やSF的なことを描きたいのではない。あくまで『人と宇宙の関わり』を描きたかったのだろう。テーマとして特に目新しいとは言えないのかもしれないがいつまでもこういう作品が生み出され続けて欲しい。(さらにいえば「もっとフィー姉さんの話読みてぇ」とか……)

メインストーリーはハチマキ関連だが、最初のユーリの切ないエピソードやテロを巡る話、そして随所に散りばめられた名セリフ、タナベというキャラクター等と見所はたくさんだ。是非手にとって読んで欲しい作品だ。


以下はちょっとネタバレというか勝手な感想なのでまだ読んでない方はスルーして欲しいところだが、この作品を読んで一番気になるキーワード「境界」についてだ。まとまった考えでもないのでだらだら書く。

前述の通り、エネルギー問題を時代背景として人類が宇宙へ日常的な進出を果していることになっている。しかし宇宙はまだ「特別な場所」でもあることが伺える。地球という「生活の場」と宇宙という「特殊空間」の境目。だが「そんな境目なんてない」とユーリはいう。
境界はそれだけではない。ハチマキは「自分と宇宙の境界」「生と死の境界」について突きつけられ、それがないに等しいことを知る。あまりに急激に大局的な視点を得たこと、境界を失ったことで自分の存在をも見失ってしまう。
宇宙との一体感は孤独や恐怖から離脱させてくれるかもしれないが決して「幸せ」をもたらしてくれる訳ではない。それは詭弁のようだが、人間もまた宇宙であるが、人間は人間でもあるからだろう。
境界がないのに特殊だと思うのは人がそこに自ら境界を作り出しているからに他ならない。人が日常的に宇宙で暮らしていくこと、そこに必要な根源的なものは…つまるところはそれがハチマキのセリフになるのだろう。「人間」という漢字の組み合わせはよく出来ているものだ。

わかりやすくするためかタナベによる女性的印象とハチマキによる男性的印象を持たせてあるが、人を突き動かす何か、人によりベクトルは違えど、根源は同じものである「腹の底にあるチカラ」もこの作品のキーワードの一つだろう。
そこから出るパワーが螺旋状であるなら外へ向う力と内へ向う力は共存している。なんていったら観念的すぎてアレ風味だけども……。
「自分の今いる場所から飛び出したい思い」と「いるべき場所、帰るべき場所への思い」、ちらっと細野不二彦の「BLOW UP!」とかを思い出してしまう(古っ)。全くジャンルは異なるがどちらも成長の物語である。

最後に俺が好きなシーンを。
宇宙という暗黒空間で死にかけ、恐怖に憑り付かれたハチマキがそこから抜けだすきっかけとなるシーンがある。
それはさらに遥かな星まで運ぶだろう新型エンジンとの出会い。俺はあの電気が走るような瞬間が好きだ。
世界を、自分のいる場所を大きく変えるだろう何かに出合った瞬間。そして自分にも何かやれそうな予感でもある。不安や自分への疑いを乗り越えるチカラ。その対象は違えどそれはきっと一度は皆が出会う瞬間ではないだろうか。その時の感覚を、こみあげる静かなチカラを思い出させてくれるのだ。



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幸村 誠

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