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December 2010

2010.12.12

『海月姫』と漂う時間

海月姫(1) (講談社コミックスキス)海月姫(1) (講談社コミックスキス)
東村 アキコ

講談社 2009-03-13
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超久々の更新は東村アキコの『海月姫』だ。ちょうど今アニメでもやってるけど、漫画の最新6巻がでたタイミングで書いてみよう。
ちなみに俺はクラゲは海ノ中道マリンワールドで子供にまじってクラゲ実験をワクテカで見るくらいには好きだ。ほんと綺麗だよね、延々見てしまう。


◆テンポとキャラクター

さて、海月姫のストーリー紹介は……面倒なので省略(ぉぃ)
公式ページやらWikipediaやらググればいくらでも出てくるだろうし、いいか。

この作品の魅力がなにかと言えば、俺的にはテンポの良い展開となによりもキャラクター達の愛しさ、おかしさだろう。
月海や蔵之介の「母」に関連した伏線とかストーリーの仕掛けもうまいけどなによりもキャラの魅力にあふれる作品だ。東村アキコ作品は『ママはテンパリスト』を先に読んで大笑いさせてもらってたけどストーリーものもいいなあ。

ストーリー要素は恋愛、オタク、変身、立ち退き事件、コメディ、母親とドレス、80年代女の恋(笑)などなど結構いろいろてんこ盛りされてるのだが、うまいこと織り込まれているので複雑になることなくテンポの良さになっている。
6巻まで進むといろんなことが繋がって一気にひとつの方向へ収斂されていく。そう、ちゃんと最初から種まきされていたのだ。

正直「どうせオタク女子を化粧とかで変身させるんでしょ?」という先入観もあった。
いや、それは間違いでもないのだけど、それはこの作品のほんの重要な一部だ。(変な日本語)


◆月海かわいいじゃねぇか

上京したものの腐女子となってしまった月海が蔵之介と出会うところからストーリーは始まる。海月姫はギャグテイストが強められているものの、結構きっちりと少女漫画である。このように"Boy meets girl"という基本が守られているのもそのひとつ。スキスキベクトルのすれ違い方やモノローグや見開き、大ゴマの使い方もまたその証明ではないだろうか。

そう、「見開きクラス大ゴマ」の月海、蔵之介のかわいいこと。
大ゴマの役割は一瞬意識をその世界に飛ばすことじゃないかと思う。瞬間、そのシーンに入り込み、ともに見蕩れ、ともに白眼をむき(笑)、そしてともに傷つくのだ。

胸に突き刺さる大ゴマ。基本ながら漫画ならではの武器であり、それが活かせているというのは作品としてすごく大事なことだと思う。


◆おかしなやつら

月海と蔵之介を中心に話は展開するが、脇に控えるキャラ達が強烈なのもこの作品で外せない大きな魅力。月海が住む天水館の住人達(尼~ず)はもちろん、「地上げ女」こと稲荷さんや蔵之介の兄(修)、親父連中など、おかしなやつらが揃っている。

俺的には特に6巻で登場したブライス……じゃなくてべライスオタクのノムさんが結構ツボ。尼~ずにすっかり慣れて油断したところでの強烈な登場。グサッと来た(笑) 俺も虫けらの一人ながら応援させてもらいたい。
尼~ずメンバではジジ様はまだ何となく今後の活躍イメージが描けなくもないとして、ばんばさんの活躍に期待が募る。

……それにつけてもベンツ好き運転手の花森さんは卑怯過ぎる。総理周辺のギャグは結構あっさり流せるのに花森さんは毎回わかってるのに笑ってしまう。


◆蔵之介再考

それにしても蔵之介というキャラクタは不思議な存在である。
役割としては「見い出し、変化をもたらす者」で、そのために月海達の平穏に土足で乗り込んでをかき回すことになるのだが、そこへウザさを感じさせないのだ。

あえて序盤で尼~ずに「侵害者への拒否」を突きつけさせたから?
それとも華やかな見た目や毎回のファッションの変化のせいだろうか。よく出来た(?)キャラである。

自分の目的もある。行動力もある。己の能力を知っているし、自信もある。でもどこか満たされていない。そう考えると一番近い存在は実は稲荷さんか。そういや最初に合うシーンで同属嫌悪ってあったっけ。
蔵之介は月海と、稲荷さんは修と。新たな関わりを通して欠けていたものを見つけることになるのだろう。


◆あとがき漫画がひどい

特に1~3巻のあとがきマンガにはどん引きと大笑いさせてもらいましたとも。恐るべきハマり能力。てか尼~ずのオタぶりが描けるのって作者&周辺に強力かつ協力的なネタ元いないと無理だよね。


◆ついでにアニメの話

『君に届け』と同様、絵もストーリーも丁寧に原作をなぞりつつ、動画ならではのアクションを取り込む。幸せな関係を築けているのではないだろうか。あとがき漫画の中で作者も触れてたけど、最近のアニメは漫画テイストを崩さない絵を出せるんだねえ。アニメは11話までらしいけど、どこまでやるんだろうか。
そうそう、これを書いている現在8話でさりげなくごっちゃんが登場してた。


◆海月姫に漂え

最初に書いたように本作はいろいろてんこ盛りではあるけども、それでも根っこは普遍なんだろう。それは世にあるほとんどの作品が共通で持つテーマである。

 
  自分には何ができるのか
  必要としてくれる人はいるのか
  どうして誰かが特別になるのか

このありきたりでいて屈強(?)なテーマに触れるようとするとき、高確率でなんらかの痛みを伴ってしまう。避け続けてしばしぬるま湯の中に浸かりやり過ごすこともできる。

この作品はそんなぬるま湯から蔵之介と地上げという「招かれざる客」によって向きあうことになった人々の話だ。

俺はぬるま湯も大好きだけどねー。

フゥーー☆ ぬるま湯フゥーー☆ (c)まやや様

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