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2011.09.09

おっさんもSteins;Gateを目指す

STEINS;GATE Nitro The Best! Vol.5STEINS;GATE Nitro The Best! Vol.5

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なんか俺、年イチの更新ペースを律儀に守ってるなぁ。ゲームの方をクリアしたのとアニメ版がラスト回を控えているこの勢いのままに書きなぐる。

blogでの高い評判を聞いてずっと気になっていたSteins;Gate(シュタインズ・ゲート)。
XBOX持ってない俺は他のコンシューマで出るのを待ち続けていた。やっと出たPC版もタイミング悪かったりでプレイしそこなっていたらつい先日なんとiPhone版が発表。PCは手元にないけどiPhoneならある!ということで結局配信日に落として仕事の隙間にひと通り全エンディングまでプレイしてしまった。この間、平均睡眠時間3時間強。いい歳してダメ社会人である。
そんなわけで本レビューではシナリオは変わらないと思うけど、システムについてはiPhone版での話になる。

ストーリーやキャラは公式でも見てもらうとして個人的な感想をだらだらと。一応、ズバリなネタバレは避けてるつもりだが、ニュアンスで香る部分もあるかも。ご注意を。

いやー、イイね! いわゆるタイムトラベルものはかくあるべし! ビジュアルノベル系をやるのは428以来だけど全く違う方面で傑作だ。

詰め込むだけでなくうまいこと料理された科学理論。
秋葉原を舞台に時間と世界を跨ぎつつ練りこまれたプロット。
絶妙な緩急で繰り広げられる笑いと悲劇、陰謀とサスペンス、ロジック、そしてロマンス。

ひと通り終わるまで約25時間ほどのプレイ時間だったが、久しぶりにいろんな思いを馳せる時間を持つことが出来た。
XBOX/PC/iPhone/iPad版と選択肢も増えたことだし、未プレイの方にぜひぜひオススメします。


◆シナリオ・演出

<伏線とその回収>
シナリオとしてやっぱり良く出来ているのは序盤から張り巡らされる伏線と終盤での回収だ。シナリオ内で明確な「折り返し地点」があるのだが、知っているはずの折り返しの行き着く先には経由したドラマの分だけの違いが待っている。それが本作品の一番の仕掛けであり、また最重要テーマでもある。(何言ってるかわからんが、書いてる方もどう書いていいかわからん) 
特に折り返し後はどこでプレイをやめたものか困るほど。全てはラストのカタルシスのために綿密に配置されたものなのだ。

<2ちゃんねる用語と厨二病>
きっと序盤の主人公の岡部の厨二病語り、まゆしぃやダルの口調、それだけで距離を置く人も多いのではないかと思われる。飛び交う2ちゃん用語(作中では@ちゃんねる)が難解な科学用語を中和してくれ……るどころか余計にドン引きさせている可能性も否定できない。逆に元ネタに親しんだ人には各TIPSの説明含めてニヤニヤの連続だろう。

ただこれ、特に岡部の語り口調は実は演出的にも結構効いている。中盤以降の激動の中での口調の変化、終盤での変化と岡部の心情の表現手段として十分に活躍してくれるのだ。
厨二病オカリンがかっこよくて、ほっとして……その日を迎える時、きっとあなたの口元もマッドサイエンティストのそれになっているだろう。

<ギャルゲー要素?>
一応、科学ADVであり恋愛ADVではない、のだが、いわゆる攻略キャラ的な扱いなのは5人。さらにメイン扱いは二人なのでそういう点では明確に絞られている。
プレイ時間のボリュームがちょうどいいのもそのおかげとも言えるがキャラ毎の濃厚なイベントを、って期待にはまだ未プレイだけどファンディスクである「比翼恋理」の方をどうぞ、ということだろう。
ルート的な順序の強制はないが、キャラ毎の話は恋愛イベントとしてでなく、どちらかというと行為とその代償を岡部とプレイヤーに染み込ませるためのエピソードとして存在している。

<シナリオ分岐>
分岐条件(特にTrueEnd)には一部、納得いかないところはある。フォーントリガーシステム内で恋愛ADVでいう「親密度」的なものを対応し、かつこのボリューム内で、となると仕方ないところはあるのかもしれない。が、これを選んだからこそこのルート、という説得力には若干かける。

こういうノベルADVでのシナリオ複数のEND、ルート探索、繰り返しプレイ時のスキップやそれにともなう感動の薄れ、作業化……。いわゆるビジュアルノベル自身のプレイスタイルとシナリオ内の岡部が体験するものは似ている。
複数のシナリオ・ルートの記憶を引き継げる、神の視点にあるのは岡部、そしてプレイヤーだけなのだ。
あんなに感動したシーンもルート探索のために繰り返し読み飛ばしているとイベント絵の切替さえもうっとうしい。ちょっとした変化でもないものか、と荒んでいくのはあたかも例の無限サイクリングの岡部ではないか。

<音楽>
プロデューサさんがミュージシャンでもあるとのことで、BGMや楽曲も充実している。初見では歌詞がアレだ!(笑)と思うけど、アニメ版含めて「これじゃなきゃ」と思ってしまう罠。キー的にカラオケはムリかー。

<フルボイス>
iPhone版でもフルボイスを実現している。いわゆるギャルゲーでは主人公(男)の音声はテキストのみ、ということが多いが、本作ではキャラクター全員の声が収録されている。というより、オカリンボイスがメインといっていいだろう、常考。
ギャルゲーでは音声スキップすることが多いのだが、今回は基本全聴きで進めたくなった。声の演技頑張ってます。音声のビットレートはぎりぎりまで落とされているが聞きにくく感じることはない。


◆システム関連

<iPhone版はRetina対応>
iPad版がHDとついてるのでiPhone版は低解像度なのかと思ったがしっかりRetina解像度には対応している。DPIの高さもあって映像としての不満はなし。文字も読みやすい。

<フォーントリガーシステム>
このゲームではシナリオ分岐は行動の選択肢でなく、携帯によるアクション(電話やメール、メール返信)のする、しないで分岐していく。選択肢が出ないのはいかにもゲームっぽくなってしまう時間を少なくし、ストーリーへの集中という点でのメリットは大きい。特にiPhone版では通常プレイは横持ち画面、縦持ちすると携帯画面呼び出しという機能もついている。が、寝っ転がってプレイするときは邪魔なので結局あまり使わなかったな。
画面の狭いiPhone版だから、というのが大きいだろうけど携帯画面でのメール選択はやや選択しにくい。支障になるほどではないけどもこれは仕方ないか。

<テキストスキップ>
ビジュアルノベル系で欠かせないテキストスキップ機能。強制スキップ、既読スキップを備えており、iPhoneでもそこそこのスピードで送られる。ただし一部、結構頻繁に繰り返されるタイムリープムービーが飛ばせないのはストレスだ。

<セーブ、ロード>
通常のセーブに加えてクイックセーブ機能もついている。iPhone版でも保存枠は十分。

<使いにくいTIPS>
科学用語や2ちゃんねる用語などを補足するTIPS。200を越えるTIPSが確認できるのはいいのだが、正直このTIPS関連のユーザインタフェースはイマイチ。一応、表示しているテキスト中にTIPSがある場合はTIPS画面呼び出しで表示されたTIPSが選択されるのだが、いちいち画面呼び出すんじゃなくてやっぱりテキスト中のTIPSをタップしてすぐ読みたいよね。テキストとして同時に2つのTIPS表示されたら1つは自分で探して読まないといけないのもマイナスポイント。TIPS画面で次の未読項目にスキップしたりもできない。

<難易度>
基本的な難易度は高くないが、悩むまでもない当然の分岐と前述の通り、一部ルート突入条件については「なんで?」なものと極端。シナリオ特性のためだろうけど、街や428のようなパズル的な面白さではない。


◆ゲーム中のネタなど

<タイムマシン理論>
アトラクタフィールド理論の考え方や再構築の考え方は結構好きだ。
バックトゥザフューチャーとは違い、タイムパラドックスがおきない遡行方法を持ち込んだのもうまい。でも映画の続編でマーティが前作のマーティを見てたりする面白さってあったよね。ここではうん、大丈夫、とだけ。

細かくはリープのための圧縮やら基地局問題、座標指定など、技術・科学的にみた突っ込みどころはいくらでもあるだろう。しかし作品を成立させるに充分の説明責任?をは果たし、うまく使いこなしている。

<ナツカシのジョン・タイター>
設定のベースとして結構大きい部分を占めているのが、我等の暮らす世界線にリアルに現れていた自称タイムトラベラーのジョン・タイター。当時の騒ぎ(ってほど大きな騒ぎになってなかったな)を知る人ならニヤリとするだろう。俺はSlashdotJapanあたりでの議論を読んでいたような気がする。さすがに細かいことは忘れてて2000年問題うんちゃら、の記憶があったくらいだけど。
結構いろんなところにタイターネタは反映されてるので、プレイ前にWikipediaなりで情報仕入れておくのもいいかもしれない。


◆キャラクター

<岡部倫太郎>
女性(一部風)キャラ達もいいのだが、何よりまずは岡部倫太郎だろう。きっと誰もが極度の厨二病な言動で「ダメだこいつ(略)」と思わせる。しかし、深さではダルや助手に及ばないものの、広い方面の知識を持ち、観察・推測力も行動力、判断力もあり、結構オールマイティだ。何よりラボメンとして迎え入れた仲間に対しての懐の深さ。自分の弱さとも向き合う強さ。
あれ、これっていわゆるギャップ萌えってやつ?

<ダル>
何度もHENTAIとばかり言われてるけど実は一番いいやつだ。無茶な要求にもさして文句もいわずに実は誰よりもオカリンを立て、支えている。かつ未来含めた各発明品の技術、ハッカーとしての手腕まで考えれば超ハイスペックだろう。繰り返される再構築の中で一番ショックだったのは並み居る女性(風)キャラ達を差し置いて、ダルがオカリンを知らないパターンだったのは俺だけではないはずだ。

あれなんで男だらけになってんだ? アッー!な感じではないか。

もちろん、女性(風)キャラ達、特に助手スキーではあるのだが、キャラ自体というよりシナリオ上の流れとして好きという方が正しい。この作品は岡部倫太郎と鳳凰院凶真の、それにリンクするプレイヤーのものなのだ。


◆おわりに

読後感みたいなもののせいか、中学だったか高校だったかの時に読んだハインラインの「夏への扉」を思い出す。俺はSFに詳しいわけでは全くないけど、「夏への扉」は「SFってスゲー、おもしれー」と印象付けた作品として俺の中で不滅の傑作だ。(もうほぼ忘れてるけどw)

タイムトラベルものとしての面白さ、溜めとカタルシス。
それを味わえるSteins;Gateは今のプレイヤーへのジュブナイル、SFへの扉としても面白い立ち位置をもてる傑作だと思う。

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