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2004.08.29

6:バルセロナ、約束の地のガウディへ

えらく間があいてしまったけど、スペイン旅行記第六弾。もうこれまで読んだ人も本人達も忘れかけてるって話もあるけど。
まとめ読みはこちらから。

今日ついに元々の目的であるバルセロナへ向かうことになる。ホテルで朝食をとり、タクシーにてセビリア空港へ。空港の事前資料はなかったが、小さな空港だったので特に迷うこともなく搭乗手続きをし、スーツケースを預ける。今回はイベリア航空でなくエアーヨーロッパを使うことになっている。…が、なかなか出発できず。結局40分ほど送れて飛行機はセビリアを飛び立ち、バルセロナへ向かう。
降りるときバルセロナの建物がいろいろ見えるかな、と思っていたが、上空から眼下に広がるのはただただ雲。今日のバルセロナはあいにくの空模様のようだ。ちょっと残念。しばらくの空の旅を終え、バルセロナ空港へ到着。ついに一番の目的地へ降り立ったんだと意気込むが、出鼻をくじくかのように預けた荷物がなかなか出てこない。かなーり待たされてようやくスーツケースをゲット。出発遅れといい、荷物搬送の遅さといい、普段の評判は知らんがエアーヨーロッパもうちょい頑張れや。
結局この時点で予定より一時間半ほど遅れてしまった。

今日のホテルは空港から結構離れたサンツ駅近くにあるのでそこまで移動せねばならない。荷物もあるのでタクシーで一気にいこうかとも考えたが、距離もあるし、バルセロナ空港から直で出ている電車(Renfe)があるらしいのでそれで直接サンツ駅まで行くことにした。
これまでマドリッドの綺麗な街並み、グラナダの自然と触れてきたのだが、バルセロナ空港からサンツ駅までの電車から見える風景は壁にされたラクガキ、ボロボロの建物などちょっと様子が違う。これもまた違った一面なのだろう。その後見たバルセロナの街でも結構ラクガキが多かったように思う。折角のムードある景観をもったいないとも思うが、ラクガキする人にとっては生まれ育った普通の街なのだろう。
20分ちょいの移動でサンツ駅へ到着。ちなみにスペインの電車は乗降時に自分でレバーやボタンで扉を開けるものが多い。地下鉄は勝手にあくものと自分でレバーで開けるのと半々。Renfeはボタン式で緑と赤のボタンが並んでいる。外側には緑のボタンだけついてるようなので、おそらく緑がオープンボタンなんだろう。降りるとき押してみよう……と考えていたが、大抵のメジャーな駅ではせっかちな人が待ち構えるようにしてボタン前でスタンバっている。結局地下鉄含めて自分で開けることはなかった。別にいいけどちょっぴり残念?(子供か)

サンツ駅から歩きで近くのホテルへ。いろんなものを無理やり詰め込んだスーツケースはおみやげも含めて着実に重量を増しており運ぶのにかなり難儀してくる。そういや搭乗手続きの時30kg目前の表示になってたもんなぁ。セビリアでタクシーの兄ちゃんもちょっぴり険しい顔をして"Too heavy..."とぼそりと漏らしてたし。
今日の宿泊ホテルであるEXPOはサンツ駅のすぐそばにあるのでなんとか鬼のような重さのスーツケースも運び込むことが出来た。確かに交通の便に便利なホテルだ。そのかわり見た目はちょっとビジネスっぽい感じなので味わいにはかけるか。入り口が大きな回転ドアのみなので二人で「六本木ヒルズ、六本木ヒルズ」と唱えながら慎重に入る(馬鹿)
さっそくフロントでチェックイン。なんと受付に日本語を話せる人がいた。ちょっと間違ったりもしてたがスペインへ来て初めてのケースである。これまでのホテルでしょうもないレベルながら毎度ホテルトラブルが発生していたので「このホテルで何かあったらあの人に!」とトラブル・交渉担当の俺は心に決める。

重い荷物から解放され、一休みしてバルセロナ観光モードへ切り換える。
まずは移動の基点となる地下鉄駅を確認。サンツからは3号線と5号線の両方が出ているので結構便利だ。マドリッドもそうだったが地下鉄は日本と同じくラインごとに色分けされているのでわかりやすい。そこまで複雑な接続でもないので慣れると非常に便利な移動手段となる。ここで10回利用の出来るT-10チケットを購入。1回乗車で1.1ユーロのところが10回券で6ユーロ程度とかなり割安だ。

まずはお約束ということで5号線に乗り早速サグラダファミリア駅へ向かう。地下鉄を降り、地上へ出て、さてどの方向に見えるのだろうと振り返ると目前にドドーンとそびえ立つクレイジーな建物。

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「いや、いきなり近すぎだってば」

心の準備もなく本当に間近にサグラダファミリアとの対面となった。口開けたままじっと見上げ、二人ともしばらく言葉もない。出るのはため息である。ようやく出るのは「凄いねぇ」となんともお互い平凡な感想。
ようやく落ち着いてみての第二の感想は想像以上に「工事現場」であること。なんちゅうかまさに男の現場って感じなのだ。

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……そして結構後でひっそりと思った第三の感想。
そびえる塔を見てなんか思い出しかけたものがあった。後でそれが何だったのかわかった。ああ、なんてくだらない連想をしてしまったのか。その場で口に出すのはさすがにはばかられたが、いまはもう書いてしまおう。
連想したもの、それは名古屋にある伝説の喫茶店「マウンテン」のかき氷である。
一部で「氷柱」と呼ばれるここのかき氷はとにかくデカく、食べても食べても減らない幻の四菱ハイユニ…もとい、まさにそびえ立つ、という形容がふさわしいものだった。何本もの塔がそびえ立つ様がなんとなくこの氷柱に近しいものがあったのかもしれない。
ついでにいうと結構昔に名古屋へ遊びに行ったとき、俺は知人に連れられてこの店にいったのだが、そこで通称「赤」といわれる「甘口いちごスパ」に挑戦したのだった。アツアツパスタの上にたーっぷりかかった甘い甘いイチゴソース。さらにその上に甘いホイップクリームがとろりと溶ける。口にいれると歯が軋むような甘さ
俺はたったふたくちで敗れ去った。ちなみにこの後しばらく後遺症でいちご関連食えなかった。マジで。通称「緑」と呼ばれる「甘口抹茶スパ」も同様に猛者のための食べ物だ。
…って、せっかくの念願の対面のシーンでなんでこんなこと書かなきゃいけないのか自分でもさっぱりわからない。

激しく道を逸れたが気を取り直して…サグラダファミリアはその前後に公園がある。あまり近いと全容が見えないのだ。ちょうど公園まで下がってようやく全体を見ることが出来るような感じだ。

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地下鉄から出て見えてたのは祝福の門とも言われる東側。西側の苦難の門へまわると公園に軽食の店が出ている。こちらからの眺めをまたも口ぽかーんと開けながら堪能。

これで天気がよければなぁと思っているとなんだか暖かい。
「ん?何か日が射してきてない?」
空をしばらく見てると、おお、徐々に青空キター

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それまで覆っていた厚い雲が嘘だったかのように雲が晴れていく。感動…。昨日のワイン選択失敗から今朝の航空機遅れとちょっと傾いてた運が再び反転した感じだ。一気に気分も晴れていく。
そそくさと売店でサンドイッチとビールを購入し、サグラダファミリアを眺めつつ乾杯。

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入り口近くには銅像パフォーマーの人がいる。ぱっと見には本当に銅像が立っているみたいだ。たまに休憩してる姿がおかしい。結構この銅像パフォーマンスは主流なのか、他のところでもちらほらと見かけた。

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サグラダファミリア内部に入るのは明日の楽しみとしてせっかく天気も回復したことだし、他の街中のガウディ建築を目指し、カサ・ミラ方面へ歩いてみる。歩いてる途中にも唐突にあらわれるガウディ建築たち。

結構歩いてようやくカサ・ミラ到着。この建物の独特のその歪んだラインは建物というより有機体を思わせる。

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こういう曲線の多用はカサ・ミラに限らずガウディ建築全体にいえるが、そのデザインは奇異・異質でいてそれでいてしつこくない、という山岡士郎もびっくりのバランスである。
間違いなくデザインを感じさせながら、自然そのままの岩山や植物の断面、あえてあげれば蟻塚や蜂の巣など「建築物ではあるが自然世界に存在しているもの」を思い起こさせるのだ。そのせいかあまり無機質な人工物という感じがしない。

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しばらく並んで中に入り、階段を上る。人が暮らしていた時の様子を再現(?)した部屋などがある。部屋の中にも曲線はふんだんに使われ、どちらかというとかわいい部屋という印象を受ける。
上階はガウディ博物館となっていて、ガウディ設計の建築物モデルやオブジェ、スライドによるガウディ作品の紹介がある。

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スライドを眺めながら疲れた歩き足を癒しつつ、屋上へ向かう。ここはひときわ変なオブジェで一杯だ。

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ちょっと岡本太郎記念館へ行ったときのことを思い出してしまった。屋上はまるで休憩スペースで、観光客があちこち腰掛けてたり、みんなでわいわいと記念写真とってたりする。さらにオブジェ越しに遠くにサグラダファミリアも見えるというある意味リッチな立地。
カサ・ミラ中央には中庭があり、入るとき下から見あげたものと屋上から下を見たものをあわせてでなるほど、こうなっていたか、と楽しむことができる。

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カサ・ミラを出て、隣り合う雑貨屋(?)ビンソンへ。一体どういう立地条件だ…とも思うが、とにかくガウディ建築物はひょっこり街中に普通にあるので、隣の建物はいろいろだ。あれだけ特殊なデザイン、さぞ浮くだろうと思っていたのだがバルセロナの街並みはガウディを内包してなお自然な佇まいを見せるのだ。おそるべし。
ここで同居人はおみやげ長考モード。俺は既に足も痛くなってきてかなりヘタれているのだが同居人は構うことなく店内を何周も何周も何周も吟味している。目はむしろ輝いている。 またも買い物パワーに敗北。

俺にとっては過酷な疲労トラップであったビンソンをようやく通過し、さらなるガウディ建築を目指してカサ・ヴィセンスへ歩く。
このカサ・ヴィセンスへ向かう途中にはかなり年季の古い建物たちが並んでいる。それがまたも俺のツボを刺激。中には本当にキタネーって感じのもあったりはするけど。そうこうしてるうちにカサ・ヴィセンスへ到着。普通の家として使われてるみたいで中へは入れないようだ。

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ついでに見かけたら明日のランチの予約でもしようとガイド本に載っていた「ショウジロウ」という創作料理店を探してみたが発見出来なかった。移転したのか探した場所が間違ってたのか…。

そうこうしてるうちに暗くなってきたので今日の晩飯を求めてさらに移動。ガイド本に載っていたタパスの品揃えが豊富な店、TapaTapaに行くことにする。タパス(Tapas)は酒のつまみのような小皿料理を意味するらしい。
ここはガイド本に載ってるので有名なのか大賑わい。日本人客の姿もちらほら。カウンター席へ座るとえらく元気のいいウェイターが対応してくれる。日本人含め外国人観光客がかなり多いのだろう。接客も慣れたもの。メニューは料理の写真もついてるのでどんなものかわかりやすい。日本語メニューまで用意されていた。
生ハムはデフォで頼むとして、他に数品を注文。なかなかうまかった。座ったカウンター席の前にはたくさんの生ハムぶら下がってる…あれ一個持って帰れんかな?とつぶやいたが同居人の反応はなかった。

帰りがけにすぐ近くにあるガウディ建築、夜のカサ・バトリョを遠くから見物。

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ここは昼にまた見に行こうと思ってたのになんだかんだで見そびれてしまった。残念。後で資料を見ると建物の中はすごいデザインみたい。くそー。次の機会には絶対行く。
ビールとタパスでたらふくの腹を抱えて地下鉄で帰宅。バルセロナ巡りにも結構慣れてきた感じだ。

こうして6日目は念願を果しつつ満腹で終了。

2004.05.05

5:ツボなロンダとセビーリャの狂気

スペイン旅行記第五弾。まとめ読みはこちらから。

昨日に引き続き今日もJALユーロエクスプレスで朝からバス観光だ。昨日は15人くらいの行動だったのだが、今日から2グループに分かれたため、俺らのバスは7人くらい。人数が少ないと身動きがとりやすくていい。
今日も天気は素晴らしく良く、360°晴れ渡った青い空が広がる。本当に雲ひとつない。もうこれだけで爽快な気分である。
海辺のマルベーリャを離れ、バスは山の方へ入っていく。スペインは海と山の両方に恵まれたところで、やろうと思えば一日のうちにサーフ&スノーを両方楽しむことも出来るという。
バスはやがてロンダの町へ到着。ここロンダの見物は旧市街の街並みと旧市街へ向かう渓谷にかかる橋、そして最古の闘牛場らしい。
新市街でバスを降り、歩いて旧市街へ向かう。途中見える風景はまさに地元の生活そのもの。小さな商店街など生活感に溢れていてなんとなくほっとする。同居人はタバコ屋さんでエアメイルのための切手を仕入れていた。旧市街入り口にて一旦解散し、後は自由行動。

まず向かったのは旧市街へ続く渓谷に立つ橋。橋からの眺めは絶景だ。

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ここからぼーっと眺めてるだけで時間が過ぎてしまいそうだ。さらに旧市街の中へ入ってみる。

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個人的にはミハスよりロンダの街並みの方が好きだ。より生活に近く、自然な感じがする。細かな路地フェチとしてはあちこちの細い路地に入り込んでは建物の間からのぞく青い青い空を見上げて満悦。

そんな路地には犬や猫もいたりして、さらに時間は過ぎていく。

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時間もそんなにないのであまり旧市街の奥まで探索出来なかったのが残念だが、それでも細い路地の向こうに突如として現れる古い教会や花に飾られたベランダの建物たち、細い坂の先に見える少しさびれた建物などこの街全体が醸し出す雰囲気に魅入られてしまった。人に見せるためでなく、ただ普段通りの生活している街。生活する人のための教会や小さな広場。

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昨日のミハスと同様に白い町なのだが、俺的にはこちらの街の方がかなりツボでした。最後に闘牛場もちらりと。スタンドから覗くだけかと思ったらいきなり場内に入れるのだった。いやあまり見るものはないけど…。

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ロンダはバスツアーじゃなくゆっくり時間とってまたいつか行きたいなぁ。渓谷の橋近くにパラドールがあり、部屋によっては直接渓谷をのぞむことが出来そうだ。この味のあるロンダの風景が好きならここに宿泊するのはたまらない魅力なのではないだろうか。

バスはさらにセビーリャへ移動を開始。途中、休憩のためバルへ立ち寄る。

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ああ、これがバルの基本なんだろうな、という感じだった。カウンターといくつかのテーブルがあり、みんなで立ち話ししながら酒とつまみを楽しむ。そういう感じ。例によって生ハムのつまみにビールで乾杯。うまい、そして安いなぁ。つまんで楽しんでる間にもうひとグループの団体さんがやってきていきなり店はてんてこ舞い。しまいにはガイドさんが注文をまとめていた。仕方ないとは思いつつ、自分もその一人だと思いながらも店の雰囲気ががらりと変わってしまったのがちょっともったいなかった。
でもてんてこ舞い状態の店員さんのコミカルなアクションを見るのはちょっと楽しかったりして。「いやもう大変だよぉ」という仕草はするけど嫌な顔なんてしない。なんだか和みました。

再度バスへ乗り込み移動再開。セビーリャへ入り、まずはスペイン広場へ。そういえばマドリッドでスペイン広場行ってなかったな。ま、いいか。
スペイン広場は噴水のある広場を中心にそれを取り囲むように壮大な建物が並ぶ。

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宮殿のような建物の壁にはタイル絵が並んでいる。これはスペインの各県にちなんだ絵になっているようで、ここを訪れたスペイン人は必ず自分の県の絵のところへおもむくのだという。それぞれ違う感じなので、これを辿って見るだけで面白い。逆に時間そんなになかったのでそれだけで終わった気もするけど、それはそれでいいか。

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バスへ戻るとガイドさんが何やら焦っていた。警察にバスここ止めちゃダメだから早く移動しろ、と言われてたらしい。他の観光客指差して「今ちょうど来てるんでもう少し待って」とごまかしながら延々粘ってたらしい。さすが。

バスはカテドラルのすぐそばへ移動し、ここで昼食タイム。例によって俺ら二人は他の参加者とは別行動で自力ランチだ。
途中で見かけたバルへ入ってみる。スペイン会話本片手にメニューが何なのかを調べつつ注文。俺はガスパチョというトマトの冷たいスープと豚肉のステーキを注文。勿論ビールも忘れない。例によってオーダ前からバコンと置かれていたパンとガスパチョは非常によく合う。デカめのパンをぱくぱく食ってしまった。
バルの中は客も増え、どんどん賑やかになっていく。観光客らしき外国人も多いのだが、地元の人も多いようだ。あちこちのテーブルで話が盛り上がっている。
俺らの隣に地元の人らしき老夫婦が座った。旦那様はビール、奥様を赤ワインを注文。飲む、飲む、飲む、飲む。俺らが食べ終わるまでの間でフルボトルが空になっていた。おそるべしスペイン奥様
小さな声ではテーブルの向こうの同居人に聴こえないくらい盛り上がる店内は店員さんの奪い合い状態。次々に注文が飛び交い、注文でなくても店員さんと話し混んだり、抱き合ったりと楽しそうだ。そういう状況なので食事が終わった俺らはなかなか会計出来ない。しゃべり好きスペイン人パワーを見た。でもこれこそバルなんだろう。
バルの店員さんは大抵の場合、常に客に目を配らせて…なんてところはほとんどない。マイペースで、気が付いたらあれこれサービスしてくれるという感じ。ただそれは日本人客に対してでなくみんなに対して同じ姿勢だ。客の方も心得てるのか、時にはテーブルばんばん叩きつつ大騒ぎして店員を捕まえる。こういう状態なので時間に追われずのんびり構えてる方が食事も雰囲気も楽しめるだろう。
とはいえ、今日は自由行動ではない。あまりのんびりしすぎると集合時間に遅れてしまうので幾多のタイミングを計らいまくってようやく会計。店を出た。
集合場所へ向かうと、まだ誰もいない。推測するにどの店も同じような盛り上がりなのかもしれない。マイペースなスペインの飲食店ではなかなか時間通りに事が運ばないのだろう。人数が多ければ余計にそうだ。

まだちょっと時間があるのでしばらく集合場所近くを探索。街角に聖画が多いのはロケーション考えると当然か。ここに限らずスペインではどこでも見かけるけどね。

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俺らは近くのカフェでコーヒーとアイスで一服してから再合流。

さて、観光再開で案内されたのはカテドラル。外から見えるはヒラルダの塔。高さ98mっていってたかな。この近辺ではこの塔より高い建物は作っちゃいけないんだそうだ。

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外で内部の簡単な説明を受け、聖堂内へ入る。これはもう、筆舌に尽くしがたい。俺らが撮るような写真では表現は無理。その壮大さは実際に見ないとわからないだろう。ガイドさんの説明によると建築にあたり「後世に見る人から狂気の沙汰と思われる位大きな教会を建てよう」という目的もあったらしい。

ええ、認めますとも、狂ってます。

完成に100年以上かかったというが、これでも驚異的に早いペースで完成したのだそうだ。本家ローマのカテドラルはこれよりデカいというのだからもう何が何だか。高い高い天井。厳かな装飾、絵画、彫像。ずっと見上げ続けてるのでしまいにゃ首が痛くなってきそうだ。

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高い高い天井…。

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あちこちのスペースにステンドグラスや絵画。

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カテドラルの建った場所に元々あった場所の教会から運び込まれたマリア像。この建物の中で一番古いものということになる。なんとなく印象に残った。

ひとつ意外だったのがコロンブスの扱い。日本だと歴史の教科書で新大陸発見の偉業についてやコロンブスの卵なんて言葉にちらりと触れる程度だが、なんというかスペインでは「神に近い男」である。確かに新大陸発見がスペインにもたらした莫大な富を考えればうなずける。コロンブスの棺を担ぐ巨大な像、果てはコロンブスの子供までえらい待遇だ。

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ガイドさんがあれこれ説明してくれたのでいろいろわかってありがたい。
コロンブスの遺骨も生前以上に世界を駆け回っているのだそうだ。また遺骨の真偽もDNA鑑定中だったりするらしい。ガイド説明なしに見物するだけでもカテドラルのインパクトのもの凄さは変わらないのだけど、それぞれに施された細かな配慮やエピソード、歴史がわかるのはなかなか楽しい。
例えば聖堂中心の祭壇にある何枚もの絵は当時まだ文盲な人が多いことに配慮し、宗教画というよりは絵物語になっているという。それを順にを指しながら絵で教えを広めていたのだろう。また見上げた時に上の絵が小さく見えないよう、上の絵ほど絵自体が縦長に作成されてるのだそうだ。こういうのは教えてもらわないとなかなか気づかないところだろう。カテドラルという名称は司教座聖堂という意味らしく、祭壇に司教が座る椅子があるからカテドラルなのであって、それがなくなると例えこの規模だろうと単にでっかい教会になるのだという。
ほか、数々のスペインうんちくを有り難く拝聴。

なんだかカテドラル内は空気が違うようだ。湿度が低いのかコンタクトを入れた俺の目も渇きまくり。もともとドライアイだが、見所だらけであちこちをじっと見つめ続けてしまうからかもしれない。それとも単に俺がこの聖なる場にそぐわないのか? 塩かけられたナメクジ状態になりつつ最後は目薬を頻繁に補充しながら見てまわった。

ヒラルダの塔へも登ってみることにする。階段でなく、らせん状の傾斜になっていてぐるぐると歩きながら登っていく。頂上へ着くと鐘が見える。そしてセビリアの街並みが眼下へ広がる。風が気持ちいい。

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あまりに圧倒的なカテドラルに感服し、見上げ疲れた首を抱えバスへ戻る。そのまま本日の宿泊先、ホテルオキシデンタルへ。今日でJALユーロエクスプレスのバスともお別れだ。

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ホテルで一休み後は近くを探索。ちらりといくつか店をのぞいてデパートへ。地下には食料品売り場。肉のコーナーでは生ハムをスライスして計り売りしているようだ。
ここで同居人が生ハムのグラム買いにチャレンジ。スペイン語会話本から「100gお願いします」(Cien gramos por favor:しえんぐらもすぽるふぁぼーる)を探し出し、準備万端……なのだが他の客の隙間を縫うタイミングが難しいようだ。混んでるコーナーをあきらめ、難易度の低そうな別の肉コーナーで再トライ。

同「しえんぐらもす!(ぽるふぁぼる←何故か小さな声)」

流暢なスペイン語(笑)で注文をわかってもらえたようだ。よく考えると「どれを」100gなのか言ってないのだが、店員さんが来るまえからぶらさがってる生ハムを指差してあれこれ言ってたのでわかってくれたみたいだ。
美味そうにハムをスライスしていく店員のおじさん。大体このくらいかなーというところで一旦秤に載せる。95g…惜しい。女の子店員も戻ってきておじさんに「100g切ってるの?」と声をかける。おじさん、自信ありげな顔で慎重にもう1スライスし、さらに秤に追加。

100gジャストキター!

ふふん、と得意げなおじさん。見事な芸に俺らも女性の店員さんも「おー」と歓声&ひと笑い。

誤算だったのが一緒に買い込んだ酒関連。フルボトルは明日の朝に響くかなぁと思ってハーフの白ワインを探して買って帰ったつもりだったのだが、これがデザートワインだったらしく甘い…。ちょっと食事に合わないので泣く泣くパス。ワインはそんなに飲みなれてないので、ラベルでどういうものかわかるようにならないとつらいなぁ。どれが辛口なのかもわからない。変に気をまわさず素直にフルボトルのシャルドネ種にしとけば良かったか。
ビールも例によって冷やしたやつが見つからなかったので帰ってからホテルの冷蔵庫に入れておいたものの、食べる頃にはまだあまり冷えてない。仕方なく元々ホテルの冷蔵庫に入ってたビールにて乾杯。ワインがちょっともったいなかったが生ハムが美味かったのでヨシとしよう。

こうして5日目はカテドラルの狂気に圧倒されつつ終了。

2004.04.28

4:アルハンブラの光と影、そして地中海へ

スペイン旅行記第四弾。まとめ読みはこちらから。

朝からテレビでドラえもんを目撃。スペインでものび太は「ノビータ」だった。
朝食ではまた生ハムメインで選んでしまうどうしようもない俺。
さて今日から2日間はこれまでの自力観光と違いJALユーロエクスプレスに合流してのバス観光となる。ちょっと合流まで時間があるのでパラドールとの別れを惜しむように庭やホテルのまわりを散策。

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今日はひときわ快晴でまさしくアンダルシアの青が広がっている。

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11時ちょっと前にタクシーでバスの出発地点であるホテルサライへタクシー移動。最初にアルハンブラ宮殿へ来るはずなのでどうせすぐ近くまで戻ってくるのだが…。
ホテルへ着くと…いきなり日本人密度高っ。ここまでほとんど他の日本人と合わなかったのもあってあちこちで聴こえる日本語が懐かしいような、違和感があるような不思議な気分である。バスで同乗するのは俺らも合わせて15名ほど。JALのツアーパックであるI'llとAVAのツアー参加者みたいだ。俺らも当初予定のままだったらあの中にいたのだなぁ。
バスは再びアルハンブラ宮殿へ向かう。我が(?)パラドールもすぐそこに見えるところに戻ってきた。

parador_gate.jpg

ガイドさんの説明によるとこのアルハンブラ宮殿、かなり入るのが難しいらしい。スペインで一番の人気観光スポットなのでチケット入手に何時間も並ぶ上に発売される数は時間あたり何人と決まっており、その上チケットに書かれてる時間内にゲートでチケットチェックを受けないと無効になってしまうらしい。このあたりはこういうツアーを利用して正解か。ありがとうプランニングツアーさん。

まずはアルハンブラ宮殿の離宮(ヘネラリフェ)へ。パラドールの庭からも見えていた庭園の中を散策する。四角く刈り取られた緑の庭園。あちこちに中庭があり、池や噴水が涼しさを演出している。離宮の建物の一部は攻め落とした後、貴族の持ち物となっていて大幅に改造された部分が多いため歴史的価値は薄いという。

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しばしの離宮探索後、宮殿前へ戻り、ようやく内部へ入る。
宮殿内部は見所満載だ。ほとんど全ての箇所の装飾が見事といっていい。こまかで豪華な装飾の数々が並ぶ。壁や地面もあちこちタイルや幾何学模様で飾られている。

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特にアベンセラヘスの間、そしてニ姉妹の間の天井が凄い。ともにモカラベ(鍾乳石飾り)という技法で大理石の天井全面に細かな装飾が施されており、一見蜘蛛の巣、いや蜂の巣のようにも見えるが、目を凝らせばその一つ一つに細かい飾りがついてるのがわかる。高い位置に設けられた窓から差し込む光によりそれがさらに美しく映える。

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見所のひとつ二姉妹の間。

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その天井部はこんな感じ。

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さらに上の写真の一部だけを抜粋するとこうなっている。

有名な「獅子の中庭」は124本もの大理石の柱に囲まれ、中央に12の獅子の座す噴水が配置されている。この獅子の像はかつては時計の役割も果していたという。

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でも正直な感想として言わせてもらえば…全然ライオンに見えねーよ
本当はカワウソか猫じゃないのか、あれ。時計の機能は今は壊れているということだったが、実は「中の人」が腹時計に合わせて水ぴゅーぴゅー噴いてたのではないかと推測する…え?中の人などいない?

また別の有名な中庭が大きな長方形の池がある中庭で、池にコマレスの塔が映り込むようになっている。風で水面が揺れると池に映りこんだ塔がゆらめき、非常に美しい姿を見せる。これは砂漠の民としての記憶の一つ、蜃気楼をイメージしたものらしい。

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さらに進み、王の間へ。ここは少々うす暗くされており、入る前に明るいところを通ってくるため、明るさのギャップで訪ねた者は入った後しばらくは部屋の中が見え難くなる。その先に王座があり、王は先に一時的に視覚を奪われ無防備な状態の訪問者をじっくりと観察することができる。そんな訪問者に対してのプレッシャーも考えてデザインされたのだという。
コマレスの塔の中庭といい、このようにいろいろ計算されたデザインが多い。ガイドさんの説明によるとイスラム文化では数学も発達していたという。特に砂漠を渡る民は星から自分の位置、進む方角を割り出していたので計算を誤ることは下手すると一族の死に繋がってしまうからだ。
この他にもさまざまに趣の異なる中庭があり、楽しかった。

アルハンブラ宮殿内を堪能し、昼食タイム。俺ら二人は観光のみ参加なので食事は他のパックツアー客とは別だ。昼は一旦他の参加者と別れてレストランかバルを探すことになる。ちょっと歩いて同居人がめざとく見つけたオープンカフェのようなレストランへ。

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木漏れ日の中で気持ちいい風を受けながらまたも俺は生ハムランチを。我ながらいいかげんにしろって気もする。なんかね、メニューにjamon(ハモン)って見ると指差しちゃってるんよ、ほぼ無意識に。
のんびり食べてるうちに集合時間近くなってしまったので慌てて集合地点へ行ってみるとまだ全然集まってなかった。どの店も団体さん入ると時間通りは難しいのだろう。ちょうどレストランでコーヒー飲んでなかったので代替カフェタイム。

集合後、バスはグラナダを離れコスタ・デル・ソルへ向かう。そして「白い町」ミハスへ。

mihas.jpg

ガイドさんもちらりと漏らしていたがミハスは単に白い小さな町って感じである。白いのは暑さ対策とのことらしいが、店もそれを意識してか白い服ばかりを売ってる店などもあった。所々にある細い路地がいい感じ。意外と狭い道に車が頻繁に通り過ぎる。
ここは結構人気スポットみたいなのだが、俺と同居人は例によって途中で見かけたベランダの犬にくびったけ。ベランダからこちらを覗き込む犬をロミオのように下からうるうると見つめる同居人。本人的にはちば拓キックオフばりの点描バックをしょってる気分かもしれないが、客観的にみるとどう見ても単なるあやしい観光客だ。
ミハスには他にも展望台や小さな闘牛場もあるみたいだったが、犬や路地やいくつかの店を見ている間に自由時間は終わってしまった。見晴らしのいい土産物屋から海も堪能したし、これはこれでいいや。
当初予定ではミハスでの自由時間は三時間だったらしいのだが、バスツアーの開始時間がアルハンブラ宮殿のチケットの関係で遅れたため、今回は1時間ちょいだった。でもそのくらいでちょうど良かったかもしれない。

ミハスを後にして今日のバス観光はここで終了し、マルベーリャへ向かう。マルベーリャはかつては貧しい漁村だったらしい。それが今では高級リゾート地として有名になっている。アラブの石油王がどかどかと金を落としていくのだとか。バスは今日の宿泊ホテル、アンダルシアプラザホテルへ到着。

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さすがリゾートのコスタ・デル・ソル。プールもあるリゾートホテルだった。ついでにカジノもあるのでちょっと覗いてみるかとも思ったが同居人は全く興味なしの様子。「どうせクジ運ないし、それより食べ物」ということなのだろう。ある意味正解か。
一旦ホテルで休憩して日が沈みきる前に海辺へ向かう。

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これまで沖縄やバリ、ハワイと、遠出の旅行といえば南の島系ばかりいってたのでひさびさに味わうぷちリゾート気分だ。
同居人はまた海辺を散歩する犬を追いかけている。この女、一体何をしにスペインへ来てるんだろう…。
マルベーリャについては観光本でもそんなに詳しく載ってなかったらしく下調べの鬼である同居人の情報もあまりなかったので、食事の店はどこを探せばいいんだろうと思っていた。実際に周りを散策してみると海沿いにブランド店、お土産物屋さんや海鮮レストランがずらりと並んでいる。えらく高そうなクルーザー、ヨットが並び、道沿いに停めてある車は高級車ばかり。そんなところだった。
同居人はお土産物色でいくつかの店へ。途中、タトゥーのシールと思われるもののサンプルが張ってあり、
そのデザインの中にいくつか漢字もあったのだが…。

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なんかついてる説明がステキなんですけど。哲学を学んだことがある人ならSexyな愛は裏返すとSoulなのだと知っています。深いですね。万歳はもちろんCoolな行為だし、必勝するには危ない道を渡る必要があります。みんな酔拳習ってるので酒飲めばStrongです。あってるあってる。


そうこうしてる間に日もとっぷり暮れ、あたりは夜の街。

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腹もようやく何か入るくらいには減ってきたのでそろそろ食事にしようかとレストランを物色する。日本人の姿こそ少ないものの、欧米客でどの店もにぎやかな人だかり。特にピカソというレストランは長蛇の列が出来ていた。有名な店なのだろう。
ここで同居人による執念の店選びが始まる。スペインに来て数日経つのにまだパエリア食べてないね、ということでパエリアがメニューにある店を探してみる。いくつか発見したもののめぼしい店は満員だった。足も疲れてきたし、適当な空いてる店へ入ろうとするが同居人は何やら気に食わないらしい。ダメな理由が
「そこなんか高級そうじゃない?」
メニューの価格ではそんなには変わらないのだが、よくわからない理由だ。おそらくは気取った風じゃない、でも雰囲気のある店を選びたいのだろう。つきあいも長くなると、この難解な同居人用語の解読もなれたものだ。しかし、ここまで何度も往復してまで決めるものなのか…。
結局満員ながらも空いたらすぐ座れそうな店でメニューを眺めながらしばらく待つ。待ってる間サービスでワインを出してくれた。さんきゅー。
テーブルへ案内されると店員さんが椅子をひきながら「ニイハオ」と挨拶。チャイニーズに間違えられるのは初めてだなぁ、と思ったら同居人のシャツが白に染物で花が描かれてるものでちょっとそれっぽい。このせいかな。なんと答えたものか、と思ったが反射的にもう「グラシアス」と出てしまう。奇妙な受け答え風景だ。
沢山頼んでも食べきれないのがわかってるので腹具合も考えてトマトとモッツァレラのサラダとパエリアを注文する。飲み物はビールをくいくいと。パエリアはなかなか美味しかった。よし、これで目的の一品も制覇だ。同居人は量が多くて半分くらいしか食べきれなかったみたいで、ちょっと哀しそうな目をしていた。
のんびりと食べ終わった頃にはもう23時過ぎ。思ったより酔ってたようでちょっとふらふらしながらホテルへ向かう。あまり記憶もなくいつのまにか就寝。

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こうして四日目、またも酔い潰れながら終了。

2004.04.23

3:グラナダの車窓から、パラドールへ

スペイン旅行記第三弾。まとめ読みはこちらから。

今日も早朝から仕度。カールトンよ、さらば。早朝移動のため、あの魅力的な朝食が取れないのは残念だが、かわりにランチボックスを用意してくれた。スーツケースに手荷物、そしてデカめのランチボックスを手にホテル前にいたタクシーでチャマルティン駅へ。今日はTalgo(タルゴ)という列車でグラナダへ6時間の旅である。ホテル近くにアトーチャ駅があるのだが、停車時間も考えて始発駅での乗り込みの方が確実だろうということで切符はチャマルティン駅からのものになった。

まだ薄暗い駅でタルゴの出発ホームが確定するのを待っていると

同「まだ時間あるし、水買って来ようか?」
俺「あ、お願い。俺ここで荷物見とく」
同「はーい」
(自動販売機へ向かい、戻ってくる)
俺「あれ、水は?」
同「お金が戻ってくるんよ、つり銭ないみたいで」
俺「じゃ細かいのあるからこれで」
同「はーい」

戻ってきた彼女が抱えてきたのは1.5リットルのペットボトルだった。

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俺「でかっ!
同「なんかね、あの自販機、デカいやつだったみたい。どおりで水にしては高いと思ったんよね」
俺「……」

順調に荷物を増やしながらタルゴへ乗り込み、列車の旅が始まった。

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タルゴの外観と車内はこんな感じ。

アトーチャ駅を過ぎてしばらくするとのんびり風景が続く。さて朝飯にするかと例のでかいランチボックスを開く。その中身は…

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あの、スペインの朝飯って果物まるごとすか?

サンドイッチにリンゴ、バナナがまるごとである。
といいつつ、しっかりたいらげ、列車は進む。

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のどかな風景が続く中、絵の書いてある駅や山に風力発電の並ぶ景色、規則的に並ぶオリーブ畑、さらに途中には渓谷の橋の上を通過したりと時々変化もありつつのんびり気分で「世界の車窓から」気分を楽しむ。こういう旅の時間もいいか。
隣に乗り合わせた異国の老夫婦は奥様が旅日記を書いてるようで、美術館の本を広げては感想を書いてたり、地図を広げては記憶を辿って書き記していたようだ。なんかいいねぇ。
なごみ気分でグラナダ着。ここから今日の宿泊ホテルであるパラドール・サンフランシスコへタクシー移動だ。

俺「ホテル、なんて名前だっけ」
同「サンフランシスコだけど、パラドールだけでわかるよ」
俺「ふーん」

タクシーは単純に乗り込んで目的地を言うだけなので、今度は同居人がチャレンジ。

同「ぱ、ぱらどーる?」
運「?」

って、半疑問形にしてどうする
結局「パラドール・サンフランシスコ」でしっかりわかってくれた。慣れない地では伝達情報は多いほうが確実だ。
タクシーは細い道を登りパラドールへ。細い道のあちこちに並ぶ土産物屋さん、そしてごったがえす観光客。そう、このパラドール・サンフランシスコは観光名所アルハンブラ宮殿の一部にあるようなロケーションなのだ。
坂を登りながら思い出した。坂、土産物屋、観光客…。
「ああ、この感じはまるで京都の坂道だ」
なんでスペインで京都思いださなならんのか。>俺
でも土産物屋では木刀ならぬレイピアっぽい刀とか売ってあったりして。やっぱり似てる!?

そんな思いはさておき、まもなくタクシーはパラドールへ到着した。説明遅れたがパラドールというのは国が経営するホテルで、もともと宮殿だったり修道院だったりの歴史ある建物をホテルとして再活用したものだ。スペイン各地にあり、値段はちょっと高めだが、ロケーションや雰囲気を考えると決して高すぎることはないだろう。今回ここに泊まることも大きな楽しみのひとつだった。

荷物を手にレセプションでさっそくチェックイン。

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対応してくれるのはコントやってるみたいな受付二人だった。ちょうど客が混んでいた時間みたいで、部屋の案内係兼荷物運びの人は大変そう。それより若い受け付け担当の人は「はい次ここねー」とばかりにその相方に次々と客を依頼。表情がコミカルに「こっちはもうてんてこまいだよ」といわんばかりである。相方は構わず「ほら、次いっちゃっていっちゃって」という仕草。おもろい。
まだ部屋の掃除が終わってないようなので、とりあえず荷物を入れてもらってしばらくホテルの庭園へ。庭園へ通り抜ける途中はちょっとしたオープンカフェにもなっていて気持ちいい感じだ。

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庭園からすぐ向こうにアルハンブラの離宮も見える。
さて、しばらく散策してる間に部屋の掃除も終わったようなので部屋へ入る。部屋自体はそれほど広くないものの趣ある、雰囲気ばっちりの感じ。ここは元は修道院だったらしい。なるほど。

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今日は遠出もないし、のんびり散歩で平和に過ごそう、と思っていた。ところが今日も事件が…。

同「大変っ! 大変~!」
俺「ど、どしたっ?」
同「トイレがトイレが」
俺「トイレが?」
同「ぽろって取れたー
俺「なんじゃそりゃ」

スペインのトイレは水を流すとき日本のようにレバーを引いたりボタンを押したりではなく、貯水槽につけてある引き手を引っ張ることで流れるようになってるのが一般的なようだ。(少なくとも今回泊まったホテル全部そうだった)
詳しく聞いてみるとその流すための引き手の先っぽが流すときぽろりと取れてしまったらしい。取れたのをつけようにも棒は貯水槽に引っ込んでしまってて引き出せない。
「トイレ使えないと困るよね?」と俺を見る同居人。えーえー、わかりました、俺がトラブル担当です…。仕方ないので外で出るついでにフロントへ状況を伝える。

えっとOur roomのトイレの水流すやつ…water fulsherとかでいいんかな。取っ手は…ノブでいいか、それがその…取れた、「取れる」ってなんだっけ。 took off? get out? 「つける」ならデゼニランドの教え通りattachなのに。うー、しまった事前に文章考えとくべきだった。
ここまでこんなテキトー英語ながらふむふむと聞いてくれてたフロントの兄ちゃんを前に一瞬固まる。これ以上悩んでてもしょうがない。俺はおもむろに手を差し出し、ノブを引き抜いたら外れた、という動作をしながら言ったさ。

「ノブ、ポローリ」

兄ちゃん、一瞬躊躇した風だったが、アクションで理解したのか「わかった。出てる間にチェックしておく」との返事。
すげー、「ポロリ」で通じたぞ!YES!Si!Si!
隣で笑ってる同居人。もともと誰のせいでこうなったんだと小一時間…
後で部屋に戻ってきたときには引き手は無事ちゃんと復活していた。あれで本当に意味は通じていたらしい。

事件も無事解決したところで外へ観光。すぐ近くにアルハンブラの宮殿があるので、観にいく。

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かつてはスペインはイスラム文化が強かったんだそうだ。じょじょに攻め落とされ、最終的に残っていたのがここの宮殿を含む街一帯だったらしい。
青空をバックにそびえ立つ塔、城塞(アルカサバ)、コロシアムのように円形の中庭を取り囲むカルロス5世宮殿(これはバブル崩壊で未完成のままだったらしい)、眼下に広がるグラナダの眺望、入場チケットなしでも素晴らしい光景が並ぶ。宮殿内部は明日のツアーで入る予定なのでとりあえずタダでいける所だけぶらつく。

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やっぱりこの景色で飲まなきゃ!ということで売店でビールとポテトチップ(patata frit)を購入して乾杯。

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何故だかこのあたりはネコが多い。外人さんも俺らも猫好きの行動は変わらない。みんなプチ猫ストーカーだ。猫を間に挟んで言葉のいらないねこかわいがりの輪が広がる。

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宮殿の下では結構みんな寝転んでいる。実際いってみるとなるほどここは風もあたらないので暖かいのだ。眠くなるような暖かさ。のんびりしているとかわいい犬が駆け寄ってくる。連れてきた飼い主も同じ場所でくつろぎ始めた。
同居人は吸い込まれるように犬に近づいていく。気が付いたらその飼い主のおじさんとなにやら話していた。
ほー、ちゃんと会話してるんかと観にいくと俺を見る目が助けを求めている…。
どうやら犬おじさんは英語は話せないらしい。スペイン語でべらべらと話している。こちらがスペイン語がわからないアクションをしても全くお構いなしだ。ちょっと顔赤いのでもしかしていい気分に酔っぱらってる?
仕草をみると宮殿について語っていたみたいなのだが、今はたまに聴こえる単語からスペイン全体についても語ってるような気がする。なんかどんどん話のスケールが大きくなってないか? 一体いつになったらこの話は終わるのだろう、このまま話は宇宙スケールまで広がっていくのだろうか…。
同居人と二人で日本語で対策を相談する。やっぱこれは最後の手段、「グラシアス!アディオス!」って言って逃げるしかないんじゃないか?という結論に達した。二人でにっこりと笑いながら「ぐらしあ~す、あでぃお~す」と手を振りつつ退散。それでも最後まで犬おじさんは話しつづけていた…。

夜はせっかくパラドールに泊まっているのだから、ということでパラドール内のレストランで。ここは予約受け付けしないので早めに行く。あっという間に席は埋まっていった。こういうところだから高いのかな~と心配していたが前菜から1品、メインから1品とデザートで一人25ユーロというコースを食に命をかける同居人がめざとく発見。これならワインを頼んでもなんとか70ユーロ程度ですむ。
スペインの食事で思ったのだが基本的に酒が安い。ワインも日本でちょっとしたものを頼むより安いし、それでも結構美味しい。ビールはライトなものが多いので、キリンビールファンとしてはちょっとあっさり過ぎなところもあるのだが、食事と一緒に軽く飲む分にはちょうどいいのかもしれない。味はなかなかの美味。量もいっぱいっぱいぎりぎりのところではあるが、アメリカンサイズほど追い詰められることは少ない。ちょっぴり特殊な場所でうまいメシとワイン。ほどよく酔っていい気分だ。

こうして三日目はちょっぴりムーディかつ酔い潰れながら終了。

2004.04.22

2:マドリッド美術館めぐり

スペイン旅行記第二弾。

ホテルカールトンで迎えた朝。ようやく観光開始である。ここの朝食はかなり豪華。WEBで同居人が前評判を聞いてたらしいのだが、噂にたがわぬ豊富な朝食メニューだ。生ハムも数種類があり、見るからに美味しそうだ。この日よりほぼ毎日ハム三昧な食事を続ける俺。だって美味いんだもん。デザートも朝食と思えないほどの充実ぶり。なのだが、ハム食いすぎてもう入らん。悔しいのでプリンだけちょびっと食べた。(結局食ってるやんけ)

朝食を終えたら観光に出発するので、パスポートや現金の一部はセキュリティボックスへ入れていこうとキーを借りる。スペインのホテルではセキュリティボックスの利用はほとんど別料金になってるようだ。渡されたのは古めかしい鍵鍵した鍵。貴重品を詰め込んで扉を閉める。これで良…くない。ロックがかかるのはいいがキーが抜けない!
フロントへ拙い英語で連絡し見てもらうことに。フロントの兄ちゃんも部屋にきてトライしてみて諦め顔。設備担当者にお願いしてくるという。しばらくして電話があり、他の同じような部屋に移るかと聞いてきた。あまりこれに時間取られると観光時間が少なくなってしまうので、セキュリティボックスは使わないからこのままでいーよ、ということにした。スーツケースの鍵を閉めて中に入れておけばなんとか大丈夫だろう。そんなこんなでようやく出発。朝のカールトンを後にする。

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心配していた同居人の体調もなんとか回復した。まずは歩いてプラド美術館へ。マドリッドの街並みは綺麗だ。大きな通りの真中には当たり前のことのように広場が現れ、噴水や彫像が並ぶ。通りにはいい感じに木々が並んでいる。歩いてるだけで気持ちがいい。ただ歩いてるだけであちこち絵になるような風景が並ぶ。

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天気も良く、木漏れ日が美しい。爽やかな風に青い空。ああ、来て良かった。街歩きを楽しみながらプラド美術館へ到着。

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この美術館はかなり広く、全部観て回るとかなりのボリュームだ。絵としては正統派な絵画が多く、描かれてる服の飾りの精緻さなど気が遠くなりそうなものもある。日本でたまに開かれる絵画展とはスケールが違うので途中でお腹いっぱいになってくる。時代背景もあり、やはり宗教画が多い。そして力の入り具合も凄い。
グレコの有名な絵などもあるので絵画にうとくても「あ、これ見たことある」という作品も多いと思いようだ。そんな中、ゴヤが異質なパワーを放つ。なんて迫力だよ、こりゃ。作家単独の美術館でなくても作品数が多いので、その作者の作品の変遷がわかりやすいのも魅力の一つだろう。

同居人は今度は腹痛との戦いが始まったらしい。美術館は午後に入ると人も増えてきた。慣れない多量の絵画を見てかなり疲れたので、そろそろ美術館を出て同居人の買い物モードへつきあうこととする。しばし街歩きに戻り、靴のカンペールやその他ショップの並ぶ通りへ。美術館で結構疲れているはずなのだが全くそれを感じさせない買い物モード。毎度ながら思う。女の買い物パワーおそるべし

昼も結構過ぎてきたのでバルで昼食をとることにする。
バルというのはBARで、お気軽レストランだ。レストランとの区別はよくわからないが、よりお気軽かつカウンター席メインなのがBARなのかな。バルでは食材や惣菜が並んでいてそれを指差して「ちょっと、これ頂戴な」("Oiga, este por favor:おいがえすてぽるふぁぼーる")と注文する形式が多い。とはいえ、テーブル席やメニューもあるところがほとんどなので、レストランとそんなに分けて考えなくてもいいのかもしれない。値段は安め。
言葉がわからず戸惑っていると店員さんが結構親切に教えてくれた。ビール(あちらではcervesa:せるべっさ)に量多めのひと皿にデカいデザート、そしてコーヒーをそれぞれ二人分頼んで15ユーロくらいだった。
ちなみにコーヒーは後でガイドの人に聞いたところ
・ブラック(エスプレッソ)⇒cafe solo:かふぇそろ
・ブラックにちょびっとミルク⇒cafe cortado:かふぇこるたーど
・カフェラテ⇒cafe con lache:かふぇこんれちぇ
というようだ。カフェだけだと基本的にエスプレッソを指すことになる。朝食はコンレチェ、食事後の一杯ならコルタードがちょうどいい。(発音は適当だけどローマ字読みでも結構ちゃんと補正して聞いてくれる)
これを「会計お願い」のLa quante por fovor(らくあんてぽるふぁぼーる)を覚えておけば食事はなんとかなる。いや、メニューはさっぱりどれが何かわからんことも多いけど。
ついでに数も
1:uno(うの)
2:dos(どす)
3:tres(とれす)
4:quatro(くあとろ)
5:cinco(しんこ)
と続くが、注文時の数でよく使うような1~10くらいは覚えていると便利だ。dos cervesa(ビール2つ)が一番良く使ったかもしれない。支払いは聞き取れなくてもまごまごしてるとレジやらレシートやら見せてくれるのであまり心配いらない。

心身ともに疲れを取るため一旦ホテルへ帰還。帰り道でデパート見物。地元の生活の一部が覗けるので必ずデパートには寄っている。
最後にホテル近くのスーパーで生ハムとシャンパンとビール買い込み。こちらのスーパーではビールなどは冷やして売ってないようだ。ホテルの部屋の冷蔵庫に入る範囲で仕入れ、しばらく冷やしておく。
しばしの休憩後、こうなったらとことん行くか!ということで続けてホテルすぐ近くのソフィア王妃芸術センターへ美術館ハシゴ。

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こちらの美術館は前衛的な作品も多く置かれており、目玉はダリ、そしてミロにピカソである。この3人の作品についてはいやもう、すげーとしか。俺はどちらかというと美術音痴なのでこれがこう、などと説明は出来ないのだが、とにかくゆんゆんパワー全開なのはわかった。
ダリのシュールな妄想世界。一体何を思いながら描いていたのだろう。あるいは全て計算の上で冷徹に描いていたのか。そんなシュールな絵の印象が強いダリだが、人物画で有名な「窓際の少女」を見て驚いた。
写真で見たことはあったのだが、実物とのあまりの違いに驚く。実物はなんというか存在感がまるで違う。目の前にその風景がクリアに広がり、風を感じるようだ。えらく気になったので、ポストカードでも買おうかと思ったが印刷物で見たらやはり単なるいい感じの絵に見えてしまい、あの実物の強烈な印象は蘇ってこない。たぶん絵の大きさの問題だけではないと思う。不思議なものだ。
ミロの「なにこれ?」というような絵(点がいくつか配置されてるだけとか)や独特の点からにょろんと伸びた線、ホクロ毛?(ぉぃ) エネルギーの流れを表してたりいろいろなのかもしれないが、正直俺には意味はさっぱりわからんです。もう笑うしかない。
ピカソはやはりゲルニカが圧巻。ひときわ異様なパワーを放っていた。二人してゲルニカの前にしばし立ち尽くす。ゲルニカ製作途中の記録が写真で残されており、ここがこう変わっていったのかというのがわかり面白い。ゲルニカ関連のお土産グッズもあれこれあったけど、あの絵のついた皿でメシが食える人ってある意味凄いぞ。あまり日常的に見るべき絵ではないような気がする…。
連続でもの凄いゆんゆんパワーにやられ二人して脱力。本気で疲れた。一日で見てまわって平気でいられる量、パワーじゃなかったか。普通の俺らでこうなのだから感受性の強い人はヤバいです、たぶん。
しかもこのソフィア美術館は土曜の午後なので入館はタダなのである。あの内容で、である。ここはなんと芸術と生活が近いところなのだろう。ちゃんと各絵画の知識があればもっと深く楽しめたのだろうなぁ。
上階には絵画以外のオブジェクトがあれこれ置かれていてちょっと違った雰囲気で楽しめる。が、疲労も極度。さくっと回って退散することにする。

さすがに日が暮れかけると寒くなってくる。昼が遅かったのもあって、外に食事にいくほどの腹具合ではなかったのでそのままホテルへ戻り、疲れた足を風呂で癒して買い込んでいた生ハムとポテチ、そしてビールとシャンパンで観光初日の打上げ。乾杯!

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TVではクイズ・ミリオネアのそのまんまスペイン版がやっていた。スペインのみのさんは結構細身だったよ。大元はどこなんだろ? アメリカなんかな。明日も朝が早いので早めに就寝。

後でちょっともったいなかったな、と思ったのだが、このホテルカールトンの近くはゆるやかな坂に並木道、脇に停車した車が連なっている。21時前後に夕焼けに映える街は絶対綺麗だったのではないかと思う。まだ日が落ちかけるところで帰ってしまったので見逃してしまった。

こうして二日目はゆんゆん気分で終了。

2004.04.21

1:出発!いざスペインへ

スペイン旅行記第1弾である。

それは出発前日の夜のことである。早朝5時半には起きて準備、移動しなければならない。

俺「目覚ましかけた?」
同「かけたかけた」
俺「え、いつもの目覚まし一個だけ? 危ないんじゃない? 数時間しか寝れないんだから起きれないかもよ」
同「大丈夫大丈夫!、遊びのときのアタシは起きれるんよ」
俺「んー、一応俺の携帯アラームも5分後に鳴るようにしとくよ」
同「あっそ」

果たして翌朝、二人は携帯アラームで目が覚めた。あぶねー。目覚ましは鳴らなかったのか? おぼろげな記憶を辿ると鳴った直後にがちゃんと速攻で止めた同居人の姿が浮かぶ。いきなり寝坊で全てがパーになるところだった。
あそこで携帯アラーム仕掛けてなかったら…まったく根拠なき自信のこの女は危険である。スタートからこの状態。果たして今後どうなるのやら。

まずはタクシーで最寄駅まで。あたりはまだ暗い。
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地下鉄で福岡空港へ、そして成田へ。乗り継ぎ時間には結構余裕があるのでのんびりしていたのだが、同居人の本屋での本選びが長い長過ぎ。そんなこんなのうちに「あ、あと40分で出発」とか言いはじめるし。あわててユーロへ両替し、軍資金を確保。搭乗口急ぐと…搭乗開始が40分後だったらしい。一転していきなり暇になる。今回はJALの便だ。乗り継ぎのためまずはパリのシャルルドゴール空港への12時間に及ぶ長い移動が始まる。

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国際線だと機内で各席にTVが見れたり、ゲームが出来るのが多い。今回のJALもそれはあったのだが、システムはいまいち。ゲームはアクション系なんてやれたもんじゃない。方向キー押しっぱなしだと反応しないってのはどういうことよ。結局トランプゲームなどのちまちまゲームメインとなる。俺はソリティアっぽいのにハマっていた。このへんは今まで乗った中ではシンガポール航空が良かったなぁ。
途中から隣で静かになった同居人。眠いのかと思うがどうも様子がヘンだ。もしかして…と聞いてみるとやはり頭痛のようだ。薬をもらって飲ませ、速やかな回復を祈りながら俺はひたすらソリティア。クリアしてにやり、と同居人に画面を見せるがそれどころじゃなさそうに「よかったね」とちら見して終了…。

ようやくシャルルドゴール空港へ到着。同居人の頭痛はやわらいできたらしいがまだボケボケ。乗り換えのためのターミナル移動はシャトルバスだが、構わず歩いていこうとする同居人。そんなに遠くないんだっけ、と事前学習してない俺はついていく。…途中で道消える。慌てて元へ戻り、バスを待つ。
来たバスへ乗り込む…と運転手さんと他の乗客がなにやら首を振っている。運転手さんから「おい、おめーらは3番のバスに乗れや」とのお言葉。あやうく乗るバスを間違える。ありがとう、運転手さん。
どうも同居人は頭痛でボケボケモードのようなので俺が主導に切替える。なんとか目的ターミナルへ到着し、乗り継ぎ先へのイベリア航空への搭乗手続き完了。たどり着くのが遅れたせいか席は前後分かれてしまった。
途中で犬と出会った時だけ元気になる同居人。それ以外は相変わらずボケボケだ。

俺「さて、搭乗口いくか」
同「(ふらふら~)」
俺「おーい、どこ行くん、そっち出口」
同「あれ~?」
俺「さっき説明聞いたやん、あっちが搭乗口」
同「そっかー(ふらふら~)」
俺「おーい、どこ行くん、ここでみんなセキュリティチェックで並んで待ってるんだってば」
同「あれ~? あ、犬!

こんな調子である。それでもなんとか飛行機に乗り込み、マドリッドに着いた頃には随分回復していたようだ。着いた時刻はもう20時を過ぎているのだがまるで夕方のような明るさだ。
あまり事前調査でも見かけなかったのだが、スペインは夜が遅い。21時でようやく日が暮れるのだ。レストランが20時や21時から営業となっているのが何故かよくわかった。夜が遅いということは夜にそれだけ長くあちこち行けるということでもある。これは嬉しい誤算だった。

空港で現地案内の人と合流。今日と明日の宿泊ホテルであるカールトンへ向かう。ホテルへ向かう車の中であれこれ話す。スペインの日没時刻や治安、先日の列車テロのことなど。あとスペインでは今クレヨンしんちゃんが人気らしい。
ホテルのチェックインは本来は俺らが自分でやるのだが、案内の方がついでにやってくれた。しかも交渉してジュニアスイートにランクアップ。ラッキー。案内の方には
「しばらく下にいるから部屋のトラブルあったら交渉してあげるから降りてきて」
と最後まで親切にして頂きました。ありがとうございました。

カールトンの部屋は空をイメージしたブルーの部屋。結構広くTVも2つ。何に使えばいいのかわからないがカウンターみたいなのまで付いている。

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移動の疲れと同居人の体調も万全じゃないので、早めに寝ることにする。同居人はさくっと寝たが、俺は眠気がくるまで現地のテレビを見ていた。
BBC WorldやCNNも見れるのだが、そこで流れるニュースは結構凄惨。特に出発前日に日本で見たまま気がかりだったイラクでの日本人3人人質事件のニュースはこちらでも取り上げられており、そこで見る映像は日本で見たものとちょっと違った。日本で見たのは目隠しされて銃を持った犯行グループが後ろに立っているものや、パスポートを開いて見せているものがほとんどだった。しかしここで見たのは首元にナイフをつきつけられる姿、銃をつきつけられ悲鳴をあげる女性などの姿だった。
一日経って新たな映像が出たのか、日本では故意に放映してないものなのかわからなかった。(実はいまだに知らない) 後者だとすれば何らかの情報規制ということになる。家族への配慮かとも思ったが、それを表向きの理由に実は自衛隊派遣への反対派を増やさないための配慮ではないのかと疑ってしまう。後で同じことが繰り返されないためにテロには屈しないという基本姿勢はわかるが、今回元々何しにいってるの?という部分が国内にもイラクにも浸透してるのか怪しいだけに微妙な気分だ。テロに屈する必要はないかもしれないがテロが起きる原因を無視していいわけではない。自他ともに「これだけ有意義に活躍している」と胸を張れるのであれば「卑劣なテロには屈しない」「テロ許すまじ」という流れになるのだろうが。その場合はそもそもこの事件自体起きてないか…。
話がそれてしまったが人質の無事を祈りつつ、明日のために就寝。

こうして長い一日目はほぼ移動だけで終了した。

0:準備篇あるいはガウディの衝撃

スペイン旅行記第0弾。準備篇である。

といいつつ準備篇のあれこれは同居人ページのここここここを見てもらうということで(素晴らしく効率的な手抜き)。

スペインへはいつか必ず行こうと思っていた。
あれは何年前だったろう。記憶がおぼろげになる位昔のことだ。「マンガはじめて物語」のような感じでアニメと実写織り交ぜてガウディの生涯について紹介した番組があり、俺はたまたまそれを見ていた。古い記憶なのでほとんど詳細は覚えてないのだが、その画面に映し出されたかの有名なサグラダファミリア(番組見た後ありがちながらサクラダと覚えてしまっていた)の映像に衝撃を受けた。

さらに番組で紹介されたガウディが辿った人生。それは苦難の日々と無神論者から信仰への目覚めだった。その情熱が今なお百年がかりで建築が続けられる奇抜なデザインの教会、サグラダファミリアの設計に注ぎ込まれることになる。
見終わった俺はいつか絶対実物を観にいくんだと家族の誰にいうでもなく密かに心に決めたのだった。

それが今回ようやく実現する。

正直なところ、この肝心な部分さえ見れれば後はオマケみたいなものだからどうでもいい、楽な方がいい、と思っていた。詳細プランは先に紹介したページの通り、同居人の旅へのこだわり(=食事へのこだわりともいう)であれこれ変更があったがバルセロナをゆっくり見れそうということで最終的にプランOK。
手配してくれたプランニングツアーさんでのプラン説明の時とかもほとんど寝てたりして旅行中もひとつ先の行動しか把握してなかった気もするが、無事帰ってこれたので良しとしよう。ほとんどの準備は同居人メインで進められた。感謝。

というわけでついに出発当日となるのである。

旅行記は同居人とかなり内容かぶるだろうけど(実際初日を書きかけてたらもうカブりまくり)、別視点バージョンとして読めればいいかと思っている。細かい説明書く手間省けそうだしね。

2004.04.18

とりあえず帰国

とりあえず無事スペインから帰ってきました。長時間の移動でへろへろ。
旅行紀も時間を見つけてちびちび書くかも。(メインは同居人が書くだろうけど)

んでは風呂に入って度の疲れをとろう。
明日は小春と弥七を迎えにいかねば!